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東京の公証役場
離島(小笠原諸島)の公証相談

令和元年9月の小笠原諸島における公証相談

1 24時間もかかる船でしか行けない東京都内(車のナンバーは驚きの品川、もちろん軽4)の世界遺産、それが小笠原です。人の住んでいるのは、小笠原の父島と母島だけで、しかも貴重な独自の生態系を護るために、動植物は持込み禁止です。犬猫のペットが見当たらない、ずいぶん遠い島に思います。裁判所もなく、弁護士、司法書士、税理士の方も公証人も住んでいません。しかし、当然のことながら、住んでいる人には税金、相続、損害賠償等色々な困りごとが起こります。その問題をどのように解決すればいいのか、そもそもどこに相談すればいいのかということになります。住民の方が困りごとを身近に相談できるように、年2回開かれている「小笠原くらしの法律税金相談会」に、私たち2人の公証人(神田公証役場小島浩、昭和通り公証役場山口雅髙)も、NPO司法過疎サポートネットワークの弁護士5名、司法書士2名、税理士5名の方々とともに参加してきました。この相談会は、歴史があり、何と36回を数えます。今回参加されている方も、36回すべて参加されている方から私たちのような初めての方まで経験・老若男女多様な方々でした。

2 日程は、令和元年9月19日(木)から9月24日(火)までで、台風が怖いシーズンでしたが、9月19日午前11時に竹芝桟橋を出発し、翌20日午前11時に小笠原父島に到着しました。心がけが良かったせいか、比較的穏やかな海上で、カツオドリが舞い、沈む夕陽と昇る朝日の大海原を見ることができました。

3 相談会の様子をお伝えします。父島に到着後、母島班と父島班の二班に分かれました。母島は父島からさらに2時間の船旅ですが、父島までの24時間の船旅のせいか、短く感じました。

父島班(山口担当)は、9月20日午後から、まず地域の方々に理解を深めてもらうため、小笠原村地域福祉センターにおいて、遺言に関する寸劇を行いました。この寸劇は、弁護士、司法書士及び税理士がサザエさんの家族に扮し、波平、カツオ、マスオなど、各自の役どころの立場から相続に関する理解を述べ合うもので、寸劇の後、専門的な観点からの説明を行いました。父島班では、同日夕刻から法律税務相談会を実施しましたが、そこで御夫婦の遺言公正証書を作成しました。翌9月21日も、父島班では午前から地域福祉センターで法律税務相談会を実施しましたが、ここでも遺言公正証書を作成しました。それは、遺言公正証書を作成した御主人の死後、奥様が新たな遺言公正証書を作成したというものでした。

4 母島班(小島担当)は、9月21日(金)夜7時から9時までと翌22日(土)の2日間にかけて、相談を受けました。中には、直ぐには解決しにくい名誉等をめぐる諍いや税金の問題等もあり、幅広く、視野の広い豊かな法的知識と人間観察、洞察力が必要と思われる難しい案件もありました。といっても、公証人の私が活躍する場面は残念ながらありませんでした。見習いにきた大ベテランの困りごと相談員という風情のまま終わりました。反省会は非常に充実しており、深夜未明まで、聴く人によっては「我が人生を語る」と色分けされるかもしれない真摯な議論が交わされ、島の暮らし振りとは異なる都会的喧噪を醸し出したかもしれません。なお、反省会は船中でも続々編があり、大いに学ぶことができました。満天の★★、天の川に護られ、海からの贈り物をもらって生きていることを実感しながら、父島に戻り、翌日遺言公正証書を作成して、少しだけ役に立つことができました。その折、父島在住の四元土地家屋調査士の事務所の機器をお借りし、現地の方々の協力あってこその相談会だと改めて感じました。この場をお借りして、四元先生、役場の方々始め関係者の皆様、そしてNPO司法過疎サポートネットワークの先生方々に公私にわたり歓迎していただきました。心を込めてありがとうございます。

5 離島に暮らす村民の方々が、今回のような公証人による相続や遺言等公証相談に期待を寄せていることを実感することのできた相談会でした。離島に対する公証業務の広報活動を充実させる必要性を強く感じる機会となりました。

神田公証役場   小島 浩
昭和通り公証役場 山口雅髙

小笠原丸
寸劇
出航
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