
会長挨拶
東京公証人会
一般財団法人東京公証人協会
会長 杉山 治樹

このたび、東京公証人会の会長に就任しました。
皆様、どうぞよろしくお願いします。
公証人が担っている公証制度は、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ,私的法律関係の明確化,安定化を図ることを目的として,証書の作成等の方法により一定の事項を公証人が証明するものです。具体的には、公証人が行う公証事務は、遺言や任意後見契約、離婚給付等契約などの公正証書の作成、私署証書や法人の定款に対する認証付与、私署証書への確定日付の付与といったものです。
こうした公証事務の性質上、高度な法的知識と豊富な実務経験を有していることや中立・公正な立場で職務を行う必要があることから、裁判官、検察官、弁護士、法務事務官などを長く務めた者が、法務大臣の任命を受け、公証人として執務をしています。
全国には約500人の公証人がおりますが、そのうち東京には100人余の公証人がおり、都内45の公証役場で執務を行っています。東京公証人会は、この東京都内の公証人全員で組織された会で、公証制度の普及発展などを目的として、公証人の指導や連絡に関する事務を行っています。
さて、この公証制度、必ずしも認知度が高くないようにも思いますが、実は、少子高齢化が進む現代社会において、広く活用の余地のある制度です。最近「終活」という言葉がよく聞かれるようになりました。歳を重ねると、誰しも身体機能や認知機能の衰えに不安を感じるようになります。そうしたときに、財産の管理を信頼する人に任せることができるものとして、財産管理契約や任意後見契約などの契約があり、これらの公正証書を作ることで、老後の生活上の心配を軽減することができます。また、亡くなった後には、葬儀、埋葬や医療費や公共料金などの契約関係の終了手続、ネット上のアカウントの終結など、色々な心配ごとがあるものですが、こうしたことについて、生きているうちに、信頼できる人に任せる死後事務委任契約の公正証書を作成することも考えられます。そして、高齢者の方がこれまで築き上げてきた財産について、お子様などの法定相続人がいない場合や、法定相続人がいても、法定相続分と違った配分にしたいとか、他の有効な使い途のために遺贈したいといったご希望がある場合など、ご自分の思い通りに財産を承継させ、また活用してもらうための公正証書遺言を作成することも、終活の一環として考えてみるとよいと思います。
東京公証人会所属の公証役場では、こうした公正証書を含め、皆様のニーズに合った公正証書の作成やこれに向けた相談など、皆様のお役に立つ公証事務を進めて参りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。