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東京の公証役場
会長挨拶

会長挨拶

東京公証人会
一般財団法人東京公証人協会

会長 服部 悟

東京公証人会は、東京都内の45か所の公証役場で公証業務を行う公証人百余名の組織であり、全国組織である日本公証人連合会に所属しています。そして、東京公証人会の公証人は、全員が東京法務局に所属しています。また、東京公証人協会は、東京法務局所属の公証人が会員となり、「公証制度の普及振興のため、内外の諸法制の調査研究を行い、併せて公証事務及びその施設の充実改善を図ること」を目的とした組織であり、平成24年4月に一般財団法人に移行しました。

公証人は、法律実務の経験等を有し、法務大臣によって任命された公務員ですが、税金から給与等が支給されることはなく、全て依頼者(嘱託人)からの手数料等の収入によって、各人が自営の形で公証役場を維持経営しているという点が、一般の公務員と異なっています。

我が国の公証人制度は、明治19年の公証人規則に起源を有し、以後、予防司法を担うものとして、この制度が発展してきました。医学の分野において、予防医学の重要性が強調されるのと同様に、当事者が費用、時間、労力及び精神的負担の大きな裁判に至ることがないように、法的紛争を未然に防止するのが予防司法です。私たち公証人は、私的紛争の予防という使命に基づいて、市民生活におけるトラブルを少しでも少なくするため、職務を通して、社会に貢献したいと思っています。

 

ところで、「公証人の仕事って何ですか?」という質問を受けることが、必ずしも少なくありません。その職務の内容が、いまだ皆様に浸透しているとは言えないようです。そこで、私たち公証人が取り扱っている職務のうち、主なものを三つほど具体的に説明してみたいと思います。

1 公正証書の作成

最近では、社会の超高齢化、核家族化、家族関係の変容等を背景に、遺言や任意後見契約、離婚給付契約等に公正証書が多く利用されています。特に、遺言公正証書は、最近では、年間に全国で11万件余が作成されており、10年前と比べると5割近く増加しています。遺言は、自書でもできますが、要件を満たしていないと、無効とされるおそれもあります。これに対し、公正証書遺言にすれば、法律専門家としての公証人が、遺言者の意思を確認した上、法的観点からその内容を精査・検討して作成しますので、遺言者の意思に沿ったものであるとの証明力が高く、相続財産をめぐる争いは格段に少なくなります。また、遺言公正証書は、その原本のみならず、大震災等の災害に備えてデータとしても保存される上、相続人等は、遺言者の死亡後に、いつどの公証役場で遺言公正証書が作成されたのかを検索することも可能です。遺言公正証書を作成された後に、「これでほっとしました」との感想を述べられる遺言者の方も少なくありません。また、大きな手術を控えられ、「これで気持ちが落ち着き、安心して手術を受けられます」と述べられる方もおられ、そのような感想を聞くと、お役に立てたことの嬉しさで、公証人冥利に尽きる思いがします。

そのほか、任意後見契約公正証書を作成することによって、将来、認知症等で自分の判断能力が衰えたときの備えとして、裁判所が後見人を選任する法定後見(成年後見)とは異なり、自分が選んだ任意後見人に自らの財産の管理をしてもらうこともできます。また、尊厳死宣言公正証書を作成することによって、意思表示ができない状態になっても、医師等に対し、延命措置を希望しないことを明確に伝えることができます。さらに、離婚に際して公正証書を作成しておけば、夫婦間の財産分与や慰謝料の支払、子供の親権や養育費の支払等の合意内容が明確となり、将来の紛争予防につながります。そして、相手方が金銭債務を支払わないときは、裁判を起こさなくても、公正証書の効力によって、確定判決と同様に、相手方の給与債権を差し押さえるなどの強制執行をすることができ、そのため、公正証書の作成は、相手方に対し、約束どおりきちんと支払うことの大きなモチベーションになります。それらのことから、金銭の貸し借り、不動産の賃貸借、債務の弁済等の契約にも、公正証書が広く利用されています。

公正証書の作成は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士等の士業者を通じるなどして、公証人に依頼することもできますが、必ずしも士業者等を介することなく、当事者が、公証役場に電話やメールをしたり、予約を取って公証役場を訪れるなどして、公証人に直接依頼しても一向に差し支えありません。公証人の手数料は、政令によって法定されており、相談は、全て無料です。

2 私署証書(私文書)の認証

最近では、経済活動等のグローバル化を反映して、企業や個人が海外の公的機関や会社等に書類を提出することも増えていますが、そのような場合に、当該書類に公証人の認証を求められることが少なくありません。これが、私署証書(私文書)の認証であり、公証人が文書の作成者の本人性を確認し、その署名等を認証することによって、文書の成立が証明されるものです。東京都内の公証役場では、いわゆるワンストップ・サービスが行われていることから、東京法務局や外務省に行くことなく、手続を進めることができます。

3 定款の認証

株式会社のほか、一般社団法人、一般財団法人、弁護士法人等の各種法人は、設立時の定款に公証人の認証が必要とされています。公証人が、設立者が作成した定款の内容が関係法令に合致しているか否かを精査した上で認証を行うことにより、法人登記が可能となり、その登記によって、法人格が付与されることになります。定款の認証は、東京都内の各公証役場のほか、「東京開業ワンストップセンター」(東京都港区赤坂1-12-32アーク森ビル7階)においても、行っています。そして、平成30年11月30日から、暴力団員等による法人の不正使用、マネーロンダリング、テロ資金供与等を抑止することを目的として、株式会社、一般社団法人及び一般財団法人の定款の認証に当たっては、その実質的支配者となるべき者が国際テロリストや暴力団員に該当しないかどうかのチェックを行うことも実施しています。また、平成31年3月29日から、電子定款及び電子私書証書については、一定の条件を満たす場合に、テレビ電話による認証も可能となりました。

 

私たち公証人は、以上のような責任のある重要な職務を担当しているので、法律の専門家として、日々法律及び裁判例に留意し、研さんに努めるとともに、社会経済情勢の変化に伴う公証関連の問題事案に適切に対処するために、常設の委員会において、公証業務上の諸問題を検討・研究し、その情報を全公証人が共有できるように努めています。そして、一人一人の公証人が、常に利用者目線に立って、各種の対応をしていくことを心掛けています。

それとともに、皆様に公証制度が私的紛争の予防や解決に有効なものであることを知っていただくために、東京公証人会や日本公証人連合会のホームページに、関係情報を掲載しています。ちなみに、この東京公証人会ホームページは、東京開業ワンストップセンターでの外国の方の相談者に対する対応経験から、定款の書式例等に行き着く英語の若干の道しるべも設けており、また、平成31年3月には、親しみやすさと利用しやすさを目指して、ホームページの全面的なリニューアルを行いました。一方で、以前にはホームページのない公証役場もありましたが、平成31年3月には、東京都内を含む全国の公証役場において、全て自らのホームページを開設することにしました。その他、無料の公証相談会、講演等についても、一層の創意工夫を凝らし、公証制度に関する情報を提供し、公証人と公証制度に対する社会的認知度を高めていきたいと考えています。

なお、離島等の遠距離地域の方々への公証サービスの提供という観点から、小笠原諸島に年2回公証人を派遣して臨時の公証業務を行い、また、三宅島等においても、公証相談を実施しています。今後とも、皆様への情報をきめ細かく発信し、一人でも多くの皆様が身近で利用していただける公証人であり、公証役場であることを目指して、努力してまいりたいと思います。

最後に、皆様の公証制度に対する一層の御理解と御支援を心からお願いいたします。

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